今回は誰もが知っている名詞にフォーカスしたいと思います。名詞は「人・もの・事」の3つを指し、それ無しでは英会話が成り立たないと言ってもいいくらいとても大切な品詞です。
さて、そんな名詞の種類の一つに集合名詞というものがあります。この集合名詞の正しい扱い方をみなさんどれだけ知っていますか?
例えばstaffという単語は「従業員」という意味の集合名詞です。このstaffは、単数扱いにしても複数扱いにしてもいい単語です。でもfuniture「家具」という集合名詞は単数扱いにしかできません。
ではこれらを区別するには一体どうしたらいいのでしょう?今回はそういった集合名詞に関する疑問にお答えしようと思います。
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名詞の種類
まず名詞にはどんなものがあるのかを知っておきましょう。
名詞には次の5種類があります。
名詞の種類 | 意味 | 例 |
---|---|---|
普通名詞 | 目に見え、形のある物の名前 | dog, table, apple, houseなど |
集合名詞 | 複数の人や物が集まってできた集合体 | family, police, class, furnitureなど |
物質名詞 | 材料や素材を表す名前 | water, steel, salt, iceなど |
抽象名詞 | 目には見えず、形のない物の名前 | information, love, healthなど |
固有名詞 | 人や場所などの名前 | Mt. Fuji, Harry Potter, Sun, New Yorkなど |
どんな名詞もこの中のどれかに分類されます。
集合名詞は3パターン
集合名詞には3パターンあります。
- 不可算名詞で常に単数扱いするもの(furniture型)
- 単数形と複数形の形が違うもの(police型)
- 場合により単数・複数の両方で扱えるもの(family型)
集合名詞は5つの名詞のうち扱い方が一番迷うところです。しかし、考え方さえ理解できればそれほど難しくはありません。
では一つずつ見ていきましょう。
❶ 不可算名詞で常に単数扱いするもの(furniture型)
このパターンの集合名詞の例を挙げてみました。共通するのは、人ではなく物の集合体を表し、「〜類」と言えるということです。
代表的な名詞がfuniture(家具)なのでfuniture型とも呼ばれます。
furniture(家具類)
clothing(衣類)
jewelry(宝石類)
underwear(下着類)
machinery(機械類)
baggage・luggage(手荷物類)
pottery(陶器類)
food(食べ物類)
mail(郵便物類)など
これらは物がいくつあっても複数形にはできず、常に単数扱いになります。
例えば、家具にはテーブル、ソファ、食器棚、椅子などがありますが、それぞれのアイテムは普通名詞で1つ2つと数えられますが、「家具類」という一つのグループとして考えた時には1と考えます。
そしてもちろん代名詞はitになり、量や数を表したい時は、a little/some(any)/muchやa piece of〜/a few pieces of〜などを使います。
例文
There is some food left in the fridge.
冷蔵庫に幾らかの食べ物が残っています。
×There is some foods left in the fridge.
I bought a piece of antique furniture.
私はアンティークの家具を一点買いました。
×I bought an antique furniture.
Please do not leave any baggage on the floor for safety.
安全のため床に手荷物を置いたままにしないでください。
×Please do not leave any baggages on the floor for safety.
物の集合体を表し、常に単数形で使用する。
量や数を表す時は、
a little/some(any)/muchやa piece of〜/a few pieces of〜を使う。

❷単数形と複数形の形が違うもの(police型)
次に2番目のパターンです。このパターンの集合名詞は人や動物の集合体になります。
代表的な名詞がpolice(警察・警察官)なのでpolice型と呼ばれます。
police(警察・警察官)
cattle(畜牛)
poultry (鶏類の家畜)
people(人々)など
これらは難しく考えずに、複数になった時に-sがつくのではなく、名詞そのものの形が変わるイレギュラーな普通名詞の複数形として考えると理解しやすいでしょう。
複数形なので代名詞で表す時はthey/themを使います。
複数形 | 単数形 |
---|---|
police | a police officer/a copなど |
cattle | a cow/an ox など |
poultry | a chicken/a duck など |
people | a personなど |
複数形なのでもちろん2つ(2人)以上を指します。1人の警官を a police というのは間違いです。1人の時は a police officer と言います。
例文
The police were investigating the car accident, and they got some clues.
警察はその交通事故を調査し、いくつかの手がかりをつかんだ。
A police officer was patrolling the neighborhood, and he was talking with someone on the phone.
1人の警察官が近所をパトロールしていて、電話で誰かと話していました。
人や動物の集合体を表し、常に複数形として扱う。
複数形になった時に名詞そのものの形が変わるイレギュラーな普通名詞の複数形として考える。

❸ 場合により単数・複数の両方で扱えるもの(family型)
集合名詞3番目のパターンは、人の集合体に関する名詞に特化しているものです。
場合によって単数形になったり複数形になったりします。これは、いつ単数形になっていつ複数形になるのかを見極める力が必要になります。
代表的な名詞がfamilyなのでfamily型と呼ばれます。
family(家族)
class(クラス)
team(チーム)
club(クラブ)
company(会社)
committee(委員会)
staff(スタッフ)
crew(乗組員)など
一つのまとまりとして考える場合
全体が一つのまとまりとして考える時は1と考えて単数形扱いにします。
代名詞にする時は当然 it になります。
例文
My family is large.(単数)
私の家族は大家族です。
The class consists of 35 people.(単数)
そのクラスは35人の生徒から成っています。
もし一つのまとまりが複数ある場合には、-sをつけて複数形にすることができます。
この時の代名詞はthey/themになります。
例文
A lot of families are celebrating Christmas this weekend.(複数)
今週末には多くの家族がクリスマスをお祝いします。
There are 3 classes in the first grade of the school.(複数)
その学校の一年生は3学級あります。
一人一人にスポットを当てる場合
一つの集合体の中でも一人一人にスポットを当てる場合は、単数形のままでも複数形扱いとすることがあります。
ただしこの使い分けは、イギリス英語に多く見られます。複数形扱いですので、もちろん代名詞にする時はthey/themになります。
例文
My family are well.(複数)
私の家族はみんな元気です。
The hotel staff are from various different countries.(複数)
そのホテルの従業員は様々な国の出身です。
この二つの例文はどれも家族一人一人、従業員一人一人にスポットを当てているので、名詞の形は単数形ですが動詞は複数形として扱います。
一方アメリカ英語では、
My family is well.(単数)
というように主語が単数形なら動詞も単数扱いとすることが多いです。
もし一つの集合体の中の人数にスポットを当てる時は、通常はmemberという普通名詞とともに使います。
例文
My family members are all short.
私の家族はみんな背が低い。
How long have you been working here as a staff member?
スタッフとしてここでどのくらい働いていますか?
How many members of club are there this year?
今年は何人の部員がいるのですか?
英語はもともとイギリスで話されていた言語ですが、アメリカに渡って使われていくうちにだんだん簡素化されていったと思われます。
イギリス英語とアメリカ英語のどちらが正しいかということではないので、好きな方を使っていけばいいと思います。
人の集合体に特化していており、場合によって単数形と複数形を使い分ける。
一つのまとまりとして考えた時は単数形。そして、その一つのまとまりが複数ある時はsをつけて複数形にすることができる。
イギリス英語においては、一つのまとまりの中でもメンバーひとりひとりにスポットを当てる場合は、見た目は単数形でも動詞は複数形扱いすることが多い。一方アメリカ英語においては、memberとともに使う。

クイズ
では少し練習問題をやってみましょう。次の文には間違っているものがあります。どれかわかりますか?
Hi Ron. I got some orange. Would you like one?
ねえロン。オレンジをいくつかもらったんだけど、一ついらない?
orange→oranges
orangeは数えられる普通名詞。複数の場合は複数形にする。
I have an information about the new Star Wars movie. Do you want to hear it?
新しいスターウォーズの映画についての情報持ってるんだけど聞きたい?
an information→information
informationは数えられない抽象名詞。数える時は、a piece of informationやsome informationというように言う。
Take your baggages with you.
自分の手荷物は持っていってください。
baggages→baggage
baggageは数えられない集合名詞。いくつあっても単数形で用いる。
The committee was discussing how the problem could be solved.
委員会はどうやったらその問題が解決できるかを話し合っていた。
◯
committeeは単数形と複数形の両方で扱えるが、この場合委員会全体のことなので単数扱いにする。
How many crews are on board this ship?
この船には何人の乗組員が乗っていますか?
crews→members of crewまたはcrew members
crewは集合名詞。How manyの後は複数形の名詞が続く。
集合名詞は単数か複数か? まとめ
普通名詞と集合名詞を中心に見てきましたがいかがでしたか?
まとめると次のようになります。
集合名詞にはfurniture型、police型、family型の3つの型がある
- furniture型は物の集合体で数えられない。一つのグループとして常に単数形で単数扱いする。
- police型は人や動物の集合体。単数形と複数形で形が変わるイレギュラーな普通名詞として考える。
- family型は人の集合体で、一つのまとまりとして考えるか、個々のメンバーにスポットを当てるのかで単数と複数を使い分ける。イギリス英語とアメリカ英語で扱い方が異なる。
単数か複数かは、文を読んだり問題を解いたりしていくうちに自然と慣れていくものです。❶と❷は比較的覚えやすいので、会話ではこういった簡単なものから取り入れてみましょう。
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集合名詞が理解できず、いろいろ調べていましたが、結局分からずじまいで困っていました。
しかし、このページを拝見して、目から鱗でした。なるほど、これなら理解できる。とても勉強になりました。ありがとうございます。
この度は当ブログにお越しいただきありがとうございます。
集合名詞は私たち日本人にとっては厄介な名詞ですが、このブログを通して理解していただけたということでとても嬉しく思います。これからも英語の勉強続けてくださいね。応援しています!