英語学習にとって映画というのはとても便利なツールです。映画はまさに生きた英語が詰まった一冊の教科書そのもので、そんな映画をいつかは字幕なしで見てみたいなとは思いませんか?
そこで今回は、映画「オズの魔法使い」を使って、ある一場面をみなさんと一緒に楽しみたいと思います。

名作として世界中から愛されているこの映画は、80年という長い年月が経った今でもなぜか驚くほど新鮮で、何度も何度も見返したくなる、まさにそんな映画です。
使われている英語も標準的で品のある英語なので、この記事を読んだあとには十分字幕なしで見ることができるようになります。(もちろん声出し練習は必要です!)
3分ほどのワンシーンですが、順にセリフを英語で追っていこうと思います。
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オズの魔法使いってどんな映画?
まずはこの映画が作られた時代背景について少し触れておきましょう。セリフを早く知りたいという方は、このパートは飛ばしていただいても結構です。
映画が作られた時代背景
「オズの魔法使い」という映画は、1900年にアメリカで初出版された本「The Wonderful Wizard of Oz 」が原作です。1902年には「The Wizard of Oz」という名前のミュージカルとして、1939年には邦題「オズの魔法使」としてその名前が定着しました。
1930年代といえばまだ日本は昭和の初めごろ。扇風機や電気コタツはまだ高級品で、世界ではまだ戦争があちこちで起きていた時代です。アメリカでは大恐慌が起き、街には失業者があふれていました。

「オズの魔法使」が初めて上映されたときは、ようやく30年代後半になって長い大恐慌時代が終わろうとしていた時です。劇場には映画を見て勇気と元気を取り戻そうと多くの観客が詰めかけたそうです。
この映画のスゴイところは、カラー映画が主流になった60年代よりもはるか前に、当時の最先端技術だったカラーフィルムで撮影されたことです。
映画では現実の世界は白黒フィルム、オズの世界はカラーフィルムで撮影されています。この2つを使い分けることによって、オズの世界がファンタジーあふれるマジカルな世界という印象を与えています。そのことが映像演出においてもとても高く評価されたそうです。
大まかなあらすじ(ネタバレなし!)
続いては「オズの魔法使い」のあらすじをサクッと。
主人公はアメリカのカンザス州の田舎に住むドロシーという12歳の女の子。ある日飼い犬のトトとともに突然家ごと竜巻に飛ばされてしまいます。
着いたのは美しくて不思議なオズの国。そこでドロシーは美しい「北の魔女」に出会います。北の魔女はドロシーに『悪い東の魔女を退治してくれてありがとう』とお礼を言うのです。よく見ると飛ばされた自分の家が「東の魔女」を直撃し、魔女は家の下敷きになっています。
そしてそこへもう一人の魔女が現れます。その魔女は死んだ東の魔女の妹である「西の魔女」でした。姉を殺されて怒った西の魔女はドロシーにすぐさま仕返しをしようとしますが、北の魔女のいるところでは思うように力が出ません。
その間に北の魔女はドロシーに東の魔女が履いていたルビーの靴(原作では銀の靴)を履かせてあげました。そのルビーの靴は大きな魔力を持っていて、もちろん西の魔女もそれを知っています。西の魔女は時期が来たら必ずその靴を奪い返すぞとドロシーを脅してその場を去ります。
![レビュー] オズの魔法使 (1939年の外国映画) | 思考回廊](https://trynext.com/review/images/b003otdymu.jpg)
カンザスの家に帰りたいドロシーは北の魔女にその方法をたずねます。北の魔女は、願いを叶えたければ黄色いレンガの道を通ってエメラルドの都にいるオズという魔法使いに会えばいいと教えてくれます。
ドロシーは犬のトトと一緒にさっそく教えてもらったそのエメラルドの都に行くことにしました。
まもなく旅の途中で3人の仲間に出会います。それは、「脳みそ」がないカカシ(scarecraw)、「心」がないブリキ男(tin man)、そして「勇気」のないライオン(lion)でした。彼らは自分たち足りない「脳みそ」「心」「勇気」をそれぞれ手に入れたいという願いを叶えてもらおうと、ドロシーと一緒にオズのいるエメラルドの都を目指すことにしました。そしてそこからドロシーと3人の仲間たちとの旅が始まるのです。
オズの魔法使いのカカシとのワンシーンを英語で楽しもう
ではいよいよシーンを見ていきましょう。
まずは動画でそのシーンを確認してください。
どのくらい聞き取れましたか?
この段階で聞き取れていなくても大丈夫です。映画を字幕なしで見るときは100パーセント理解する必要はありません。
ネイティブだって一語一句聞き取っているわけではないですし、日本語で本やニュースを読んだりするときに知らない言葉が出て来ても飛ばして読んでいますよね?なので8割ぐらいを目標にすればいいと思います。
スクリプト&解説
青い文字のところに解説を施しています。太くなっているところは強めに発音するところなので、動画を見て声に出して練習しましょう。
パート1 ドロシーとカカシの出会い
人物 | スクリプト | 解説 |
---|---|---|
ドロシー | Follow the Yellow Brick Road? Follow the Yellow… Well now which way do we go? | follow 〜は「〜に沿っていく」 wayはここでは「道」なのでwhich wayは「どっちの道」、 |
カカシ | Pardon me. That way is a very nice way. | pardon meはexcuse meと同じ「すみませんが」 |
ドロシー | Who said that? | whoは「誰が」、saidはsay「言う」の過去形 |
ドロシー | Don’t be silly, Toto. Scarecrows don’t talk. | Don’t be sillyは「ふざけないで」という命令文。sillyは「バカな」、scarecrowは「カカシ」 |
カカシ | It’s pleasant down that way, too. | pleasantは「快適な、楽しい」 that wayは「あっちの道」という意味です。 |
ドロシー | That’s funny. Wasn’t he pointing the other way? | funnyは「おかしい」、pointは動詞で「指でさす」、the otherは「もう片方の」 |
カカシ | Of course, people do go both ways! | of courseは「もちろん」、doは「本当に」とか「もちろん」という次のgoを強調する言い方。 bothは「両方」 |
ドロシー | Why, you did say something, didn’t you? | whyはここでは「あら!」、didは次のsayを強調して「本当に」、didn’t you?は「たよね?」という念押し。 |
ドロシー | Are you doing that on purpose, or can’t you make up your mind? | on purposeは「わざと」 make up one’s mindは「決める、決心する」 |
カカシ | That’s the trouble. I can’t make up my mind. I haven’t got a brain, only straw. | troubleは「問題、困りごと」、have gotはhaveと同じで「持っている」、brainは「脳みそ」、strawは「ワラ」 |
ドロシー | Well, how can you talk if you haven’t got a brain? | wellはここでは「じゃあ、それなら」、howは「どうやって」、ifは「もし〜なら」 |
カカシ | I don’t know. But some people without brains do an awful lot of talking. Don’t they? | without 〜は「〜を持たない」、do a lot of talkingは「たくさんしゃべる」、そこにawful「ひどく」がくっついて「ひどくたくさんおしゃべりをする」 don’t they?は「だよね?」という念押し。 |
ドロシー | Yes, I guess you’re right. | guessは「思う」、rightはここでは「正しい」 |
声に出して練習したら、一度ここまでのシーンを動画で確認してみましょう。
Simple English Magic 81/シンプルイングリッシュ
パート2 ドロシーのカカシ救出
人物 | スクリプト | 解説 |
---|---|---|
ドロシー | Well, we haven’t really met properly, have we? | haven’t metは「挨拶をしていない」、properlyは「きちんと」 have we?は「よね?」という念押し。 |
カカシ | Why, no. | whyはここでは「おや」 |
ドロシー | How do you do? | 「初めまして」のかしこまった言い方 |
カカシ | How do you do? | |
ドロシー | Very well, thank you. | |
カカシ | Oh, I’m not feeling at all well. You see, it’s very tedious being stuck up here all day long with a pole up your back. | not all allは「全然〜じゃない」、tediousは「退屈な」、be stuck upは「身動きが取れない状態の」 with a pole up one’s backは「背中に竿を背負って」 |
ドロシー | Oh dear, that mush be terribly uncomfortable. Can’t you get down? | Oh dearは「まあ大変」、must be 〜で「〜にちがいない」、terriblyは「ひどく」、uncomfortableは「不快な、居心地が悪い」、get downは「降りる」 |
カカシ | Down? No, you see, I‘m…well, I’m… | you seeは「ほらね」 |
ドロシー | Oh, well, here, let me help you. | hereはここでは「ほら」、let me 〜で「私に〜させて」 |
カカシ | Oh, that’s very kind of you, very kind. | kindは「親切な、優しい」 |
ドロシー | Well…oh, dear. I don’t quite see how I can… | quiteはveryとほぼ同じ「とても」で、not quiteで「あまり〜ない」という意味。 seeはここでは「わかる」 |
カカシ | Of course I’m not bright about doing things…but If you’ll just bend the nail down in back, maybe I’ll slip off and… | of courseは「もちろん」、brightは「頭がいい、賢い」、thingsは「ものごと」、bendは「曲げる」、nailは「釘」、slip offは「すり抜ける」 |
ドロシー | Oh, yes. | |
カカシ | Ohhhhh! Oops! There goes some more of me again! | Oopsは「おっと」、There goes 〜で「〜が向こうに行ってしまう」の意味。藁(自分の一部)が飛び出してしまった時の一言。 |
ドロシー | Oh. Does it hurt you? | hurtは「傷つける」 |
カカシ | Oh, no. I just keep picking it up and putting it back in again. My! It’s good to be free! | pick it upは「それを拾う」、put it backは「それを元に戻す」、My!「ああ!」という驚きの表現。 freeは「自由な」 |
ドロシー | Ohhhh! | |
カカシ | Did I scare you? | scareは「怖がらせる」 |
ドロシー | No, no. I, I just thought you hurt yourself. | thoughtはthink「思う」の過去形 |
カカシ | But I didn’t scare you? | |
ドロシー | No, of course not. | |
カカシ | I didn’t think so. | 「そうとは思わなかった」→「やっぱりそうか」 |
声に出して練習した後、最初からここまでのシーンを動画で確認してみましょう。
パート3 カカシの歌「もし僕に脳みそがあったら」
次はカカシとドロシーの「If only had a brain(もし僕に脳みそがあったら)」の歌のシーンです。一度スクリプトなしで、どのくらい聞き取れるか確認してみましょう。早口になっているところがありますが、気にする必要はありません。歌なのでメロディーを楽しんでください。
人物 | スクリプト | 解説 |
---|---|---|
ドロシー | Well, what would you do with a brain if you had one? | What would you do if 〜は「もし〜だったらどうする?」という言い方。oneはbrainのことを指している。 |
カカシ | Do? Why, if I had a brain I could… | |
カカシ | (♪) I could while away the hours Conferrin’ with the flowers Consultin’ with the rain And my head I’d be scratchin’ While my thoughts were busy hatchin’ If I only had a brain I’d unravel every riddle for any individ’al In trouble or in pain | while awayは「ぶらぶら過ごす」、hoursは「何時間も」、conferは「話し合う」、consultは「相談する」 scratchは「掻く」、thoughtsは「考え」 hatchは「(卵から)孵化する」という意味もあるが、ここでは「考えなどをこっそり計画する」 unravelは「解く」、riddleは「謎」、individualは「一人一人」、in troubleは「困っている」、in painは「苦痛を味わっている」 |
ドロシー | (♪) With the thoughts you‘ll be thinkin’ you could be another Lincoln If you only had a brain! | with 〜は「〜があれば」、thoughtsは「考え」、another Lincolnは「もう一人のリンカーン大統領」 |
カカシ | (♪) Oh, I could tell you why The ocean‘s near the shore I could think of things I never thunk before And then I’d sit, and think some more I would not be just a nothin’ My head all full of stuffin’ My heart all full of pain I would dance and be merry Life would be a ding-a-derry If I only had a brain | thunkはthink「考える」の非標準的な過去分詞形。 a nothingは「価値のないもの」、full of 〜は「〜でいっぱい」、stuffingは「(藁の)詰め物」 merryは「明るい、楽しい」、ding-a-derryは特に意味はないが、merryと韻をふむために作られた言葉で「楽しい、素晴らしい」という意味。 |
スクリプトを見ながらシャドーイングをして声に出す練習をたくさんしましょう。その時に大切なのは役になりきること!気持ちを込めて言うことで映画をもっと楽しめるようになりますよ。

まとめ
いかがだったでしょうか。
「オズの魔法使い」は初心者でもわかりやすい英語を使っていますので、練習さえすれば比較的簡単に字幕なしで見ることができます。
また皆さんの日常でも使えそうな表現もたくさん出てきました。映画だけにとどまらず、ぜひ日常会話に学んだ表現を取り入れてください。
初心者にオススメな映画の題材としては、日常生活に基づいた内容のものや、例えば子供向けの海外アニメなどがオススメです。アメリカのシットコム(テレビのコメディドラマ)もいいですね。そして必ず英語字幕が付いているものを選んでください。
自分に一番合ったものを探して、とことん見て聞いて英語学習に役立てていきましょう。
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