不定詞3つの用法と今すぐ会話で使える6つの慣用句

infinitive



今回は日常会話でもとてもよく使う不定詞(infinitive)を取り上げてみます。不定詞と聞くとちょっと文法っぽいなと感じてしまう人もいるかも知れませんが、実は不定詞は会話の中で頻繁に登場します。

会話で使うくらいなのでそんなに難しく考える必要はありません。3つの使い方しかないので、その3つさえ覚えてしまえば、あとは使うのみです。

まずは不定詞の基本の形を押さえ、3つの使い方を順に見ていきましょう。

to不定詞 基本のカタチと3用法とは?

不定詞は、主語やその数、動詞の時制などによって変化しない動詞の形つまり動詞の原形のことです。その使い方は次のとおりです。

不定詞は

to + 動詞の原形

で表す。

使い方は3つ:

  1. 名詞的用法「〜すること」
  2. 副詞的用法「〜するために」
  3. 形容詞的用法「〜するための」

簡単に言うと、「to+動詞の原型」を不定詞と呼び、それが文の中で、名詞のように、副詞のように、または形容詞のように使うことができる、ということです。

まずはこの

to+動詞の原形

という形をしっかり頭の中に入れておきましょう。

不定詞の前に知っておこう!名詞・副詞・形容詞

不定詞をマスターするためには、まず英語の3つの品詞について押さえておく必要があります。

その3つとは、

  1. 名詞
  2. 副詞
  3. 形容詞

の3つです。

みなさん、それぞれの品詞の違いを説明できますか?

名詞は「人・モノ・事」

名詞はその名の通り、人やモノの名前だったり、「〜すること」で表す動作を表します。基本的には「だれ・何」に対する答えになる品詞です。

文中では、主語動詞の目的語補語としての働きがあるので、省略することはできません。

主語として:
Lucy is happy.
Reading is fun.

動詞の目的語として:
I play soccer.
The books has 150 pages.
He visited his uncle in Las Vegas.

補語として:
My favorite food is pasta.
My uncle’s name is Daniel.

副詞は動詞や形容詞を修飾する

基本的には「どんなふうに」に対する答えになるのが副詞です。副詞は文中で動詞や形容詞を修飾する働きがあります。

動詞を色付けするためだけの品詞なので、たとえ省略しても文法上問題ありません。

動詞を修飾する例:
He runs fast.(速く→走る)
I looked at the picture carefully.(注意深く→見た)

形容詞を修飾する例:
It’s very cheap.(とても→安い)
They are totally tired.(完全に→疲れている)

形容詞は名詞を修飾する

基本的には「どんな」に対する答えになるのが形容詞です。名詞の直前に置いてそのあとの名詞を修飾する品詞です。

名詞を色付けするだけの使い方なので、もし省略したとしても問題ありません。

I have an old cat.(年をとった→猫)
Who is that tall man over there?(背の高い→男の人)


形容詞にはもう一つ「叙述用法」と呼ばれる使い方もあります。不定詞では扱いませんが以下の記事で詳しく解説しています。

adjective

不定詞の名詞的用法=「〜すること」

さてここからはいよいよ不定詞を見ていきましょう。

まずは「名詞的用法」です。これは[ to+動詞の原形 ]で「〜すること」を表す使い方です。名詞には主語、動詞の目的語、補語としての働きがあると先ほど言いましたが、不定詞の名詞的用法でも同じです。

主語として:
To watch a baseball game is a lot of fun.
サッカーの試合を観ることはとても楽しい。

動詞の目的語として:
I want to go to Hawaii this summer.
私は今年の夏ハワイに行くことを望みます。(→行きたいです)

補語として:
My dream is to become a singer.
私の夢は歌手になることです。

to playとplayingの違い

動詞をing形にして「〜すること」という意味になったものを動名詞と言います。動詞が名詞化したものなのでそう呼ばれます。

例えば

studying(勉強すること)
running(走ること)
sleeping(寝ること)

などが動名詞です。

さて、この動名詞の「〜すること」と、不定詞の名詞的用法「〜すること」は全く同じなのでしょうか?

英語では普通、to不定詞は「これからしようと思っている」こと、動名詞のingは「過去にやったことがあったり、習慣になっていること」を表すというルールがあります。

例えば、

My dream is to become a singer.
×My dream is becoming a singer.

Our goal is to have fun.
×Our goal is having fun.

のような文です。将来の夢やゴールというのはこれからのことですね。そのような時は不定詞しか使えません。

一方、

My hobby is listening to music.
×My hobby is to listen to music.

It was nice meeting you.
×It was nice to meet you.

のように、もう済んだことや習慣になっていることについて述べるときは、動名詞を使います。


ここでアメリカ英語よりもイギリス英語の方が違いがはっきりしている例を挙げておきましょう。

中学の英語の問題です。

よくある英語の空所補充問題で、

I like to play tennis.
=I like (   ) tennis.

のように、カッコに語を入れて同じ意味の文にするという問題があったと思います。

正解はplaying(すること)ですが、ここでアメリカ英語とイギリス英語の違いがあります。

アメリカ英語ではこの場合、不定詞でも動名詞でもどちらでも同じ意味になります。それは日本の学校ではアメリカ英語を教えているからです。

ところがイギリス英語はこの2つの文は意味が違います。

I like to play tennis.(テニスが好きです。今からでもテニスがしたい。)
I like playing tennis.(テニスが好きです。それが習慣だ。)

小さなニュアンスの違いですが、likeの他にもlove(大好きだ)やhate(嫌う)がこれに当てはまります。これらの動詞と一緒に使うときは、アメリカ英語では不定詞と動名詞を区別しなくても問題ありませんが、イギリス英語ではこの2つの文は完全にはイコールにはならないのです。

英語はもともとイギリスで使われていた言語です。昔からの伝統を重んじるイギリス英語と、使いやすいようにアレンジしてきたアメリカ英語の違いです。好みに応じて使い分けましょう。

afternoon tea
British afternoon tea

不定詞しか取らない動詞

不定詞が「未来」、動名詞が「すでにある習慣」であることがハッキリ分かる例として、wantneedhopeなどがあります。これらはアメリカ英語とイギリス英語に関係なく共通している決まりなので、ぜひ覚えておきましょう。

I want to play soccer.
×I want playing soccer.

I need to clean my office.
×I need cleaning my office.

I hope to hear from you soon.
×I hope hearing from you soon.

例に挙げたとおり、want, need, hopeなどは「これからしようとしていること」を意味する動詞なので、後に動名詞のing形を続けることができません。

他にもpromise(約束する)、expect(予期する)、wish(願う)、decide(決める)、plan(計画する)など未来志向の動詞がこれに当てはまります。

動名詞の基本と応用についてはこの記事で紹介しています!

gerund

不定詞と動名詞で意味が変わる動詞

さらに、不定詞と動名詞のどちらも取るけれどもそれぞれの意味が異なってしまうというものもあります。それがremember(覚えている), forget(忘れる), stop(止まる・やめる), try(試す・挑戦する)などです。

もちろんこの場合も、不定詞は「これからしようとしていること」に対して使い、動名詞は「習慣になっていることや、もう終わったこと」に対して使います。


I remember to call you at six.
6時にあなたに電話するのを覚えています。(これから電話をする)

I remember calling you at six.
6時にあなたに電話したのを覚えています。(もう電話をした)



I forgot to do my homework.
宿題をするのを忘れていました。(これからする)

I forgot doing my homework.
宿題をしたことを忘れていました。(もうしてある)



I stopped to smoke.
タバコを吸うために立ち止まりました。(これから吸う)

I stopped smoking.
タバコ吸うのをやめました。(もう吸っていた)



I tried to talk to someone.
私は誰かに話しかけようとした。(実際には話しかけてはいない)

I tried talking to someone.
私はとりあえず誰かに話しかけてみた。(実際に話しかけた)


このように、不定詞と動名詞が元々持っている特徴を押さえておけば、どれにどっちを使うのか迷うことはなくなるでしょう。

不定詞の副詞的用法=「〜するために」

副詞的用法は[ to+動詞の原形 ]で「〜するために」という目的を表す使い方です。一般的な副詞の働きと同じように、文中の動詞を修飾します。

I went to Tokyo to meet my friend last Sunday.
私は先週の日曜日友達に会うために東京へ行った。

Let’s eat at home to save money.
節約するために家で食べよう。

My mother baked a big cake to celebrate my birthday.
私の誕生日を祝うために母は大きなケーキを焼いた。

ただ単に

I went to Tokyo.

と言うより、

I went to Tokyo to meet my friend.

と言った方がはるかに情報量が多くなります。いつも文が短くて困っているという方は、この不定詞の副詞的用法を取り入れてみてはいかがでしょうか。


副詞的用法ですので、動詞だけではなく形容詞も修飾することができます。この場合の不定詞は「〜なので」という理由を表します。

It’s nice to meet you.
お会いできて嬉しいです。

I’m glad to hear that.
それを聞いて嬉しいです。

不定詞の否定形「〜しないように」

not+[ to+動詞の原形 ]

で「〜しないために」というto不定詞の否定を表します。notは不定詞の直前におくのがポイントです。

I studied hard not to fail.
落第しないように一生懸命勉強した。

I set the alarm not to sleep in.
寝坊しないように目覚ましをセットした。

I told him not to make the same mistake.
私は同じミスをしないように彼に言った。



不定詞の否定形はnotだけではなく、neverも使うことができます。notよりも「二度と〜しないように」という強い否定になります。

I told him never to do this again.
私は彼に二度とそれをしないように言った。

Mika decided never to come back here.
ミカはここへは二度と戻らないと決めた。

不定詞の形容詞的用法=「〜するための」

最後は「形容詞的用法」です。これは「〜するための」という目的を表す意味になり、形容詞的に文中の名詞を修飾します。ポイントは修飾したい名詞の直後に置くということです。

I have no money to give you.
あなたにあげるためのお金はありません。

I bought a backpack to use for hiking.
ハイキングで使うためのリュックを買いました。

Would you like something to drink?
飲むための物(飲み物)はいかがですか?

He has no time to waste.
無駄にする時間は彼にはない。


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使える!不定詞を使ったオススメ慣用句6つ

ここからは、会話でもよく登場する不定詞を使った慣用表現をいくつかご紹介します。決まった言い方なので、例文はぜひ声に出して練習することをオススメします。

to be honest

これは「正直に言うと」という意味です。honestは「正直な」という意味の形容詞で、ネストと発音します。この慣用句は、気まずいことや、言いづらいことなどを打ち明けるときに使います。

How did you like the movie I recommended?
おすすめした映画どうだった?

To be honest, it was boring.
正直つまんなかったわ。

もしいいニュースを伝えたい場合は、代わりにactuallyを使うといいでしょう。

Actually, she is my type.
実を言うと、彼女は僕のタイプだ。
×To be honest, she is my type.

something to do with〜

これは「〜と関係がある」という意味の慣用句です。文に応じてsomethingをnothing(何も)やa lot(とても)などに言い換えることもできます。

What does Mark do?
マークは何の仕事してるの?

I don’t know, but I think it’s something to do with environment.
知らないわ。でも何か環境に関係している仕事だと思う。

He has a lot to do with the scandal.
彼はそのスキャンダルに大いに関係してます

I have nothing to do with it.
私はそれとはまったく関係がありません

too 〜 to …

これは「…するのは〜すぎる〜すぎて…できない」という意味です。

Are you OK? You look awful.
大丈夫?ひどい顔だよ。

I’m too sick to work today. I’ll call my boss.
今日は体調が悪すぎて仕事に行けない。上司に電話するわ。

It’s too hot to go out.
暑すぎて外に出られません

This meal is too big to eat at one time.
この食事は一度に食べるには量が多すぎます

All you have to do is to …

これは「あなたは…だけすればいい」という意味の慣用表現です。主語はAll you have to do「あなたがしないといけない全て」になり、to不定詞が補語になっています。この不定詞のtoは省略することができます。

What can I do for you?
何かできることある?

All you have to do is (to) just stay here.
君はただここにいるだけでいい

All he had to do today was (to) finish the report by noon.
今日彼は正午までにレポートを終わらせるだけでよかった。

happen to …

これは「たまたま…する」という意味です。また、ストレートに聞くよりもニュアンスを和らげる時にも便利な言い方です。

Do you happen to know Tim’s phone number?
ひょっとしてTimの電話番号を知ってたりする?

I don’t think so. Why?
知らないよ。なんで?

Nothing!
別になんでもない!

I happened to see my old friend in a train.
電車の中でたまたま昔の友達を見かけました。

come to/get to

これは「…するようになる」という言い方です。ニュアンスとしては「何かをする機会を得る」いう意味です。

How did you and Sara meet?
あなたとサラはどうやって出会ったの?

We came to know each other at the same school.
同じ学校で知り合ったのさ

After I grew up, I got to understand how things work.
大人になってから物事の仕組みがわかるようになった。

不定詞3用法の基本と応用 まとめ

いかがでしたか?不定詞は会話の中でもとても便利な文法です。それは、今まで一言で終わってしまっていた英文も、不定詞を使えばそれなりの長さの文になり、初心者の方でも簡単にレベルアップすることができるからです。

最後にもう一度、不定詞3用法のおさらいをしておきましょう。

[ to + 動詞の原形 ]

使い方は3つ:

  1. 名詞的用法「〜すること」
  2. 副詞的用法「〜するために」
  3. 形容詞的用法「〜するための」

以上、不定詞の3つの用法をしっかりマスターして、会話でも作文でもどんどん使っていけるといいですね。

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こんにちは!英会話スクールの主任講師として約10年ほど英会話を教えてきました。英会話スクール講師のほかTOEICセミナー講師、通信教育の添削指導者、英語翻訳などを経て、現在は大阪で主婦をしています。TOEIC910点取得。得意分野は英文法、発音、英検・TOEIC、アメリカンカルチャーなど。中学英語の見直しを基本に、みなさんに役に立つ記事を発信しています!