今回はリスニングについてです。
あなたのリスニング力はどれくらいですか?
「見たら分かるのに聞いてもわからない。」
「速すぎてついて行けない。」
あちこちからいろんな声が聞こえてきそうです。
英語のリスニング力をアップさせるには、ただやみくもに英語のシャワーを浴びていればいいかというとそうではありません。よく巷では聞き流すだけの教材が書店に並んでいて思わず手に取ってみたくなりますが、それを聞いているだけではあまり効果はないと私は思っています。
リスニングを強化するには次の4つの努力が必要です。その4つとは、
- 発音をよくする
- 語彙を増やす
- 文法を知る
- 速さに慣れる
です。
この4つのどれが欠けてもいけません。少しずつ並行してやっていくという事が大切なのです。
そして今回はこれら4つのうちの1つ目、「発音をよくする」にフォーカスしてみましょう。発音といっても、一つ一つの細かい音ではなく、文の中で起こる音の変化についてみていきます。
これを読めば、発音のコツが分かり、英語らしい発音に近づくことができるはずです!
さっそくみていきましょう。
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発音とリスニング力を伸ばすコツを掴むには英語と日本語の違いをまず知ろう

日本語は一つ一つの文字に母音(ぼいん)があります。母音とは、/a/ /e/ /i/ /o/ /u/の5つの音のことです。
例えば、「明日は晴れです」という文をアルファベットにしてみると、
a su wa ha re de su.
というようにすべてのひらがなに母音があります。これは日本語の最大の特徴です。母音がひらがな一つ一つについているということは、音が一つ一つ独立しているということです。
一方英語はどうでしょう?
例えば、「It will be sunny tomorrow」という文は、
It will be sunny tomorrow.
というように一つ一つの単語が母音ではなく子音(しいん)で終わっています。母音で終わる単語もありますが、英語はほとんどの単語が子音で終わります。これが英語の最大の特徴です。
つまり、この2つの言語は全く違う発音の特徴があるということです。文字も違えば発音の仕方も違う、さらには文法も違う。それが英語と日本語なのです。
ここでアメリカ国務省のFSI(Foreign Service Institute)という「外交官養成局」という機関が公表したちょっと面白いデータがあるのでご紹介します。
これは、英語を母国語とする人が外国語を習得しようとしたときに、日常生活や専門的な職業で使えるレベルにまで要する大体の時間を表したものです。
この表では習得するのに要する必要な時間を、次の4つのカテゴリーに分けています。
- カテゴリー1:24-30週(600〜750時間)
- カテゴリー2:36週(900時間)
- カテゴリー3:44週(1100時間)
- カテゴリー4:88週(2200時間)
カテゴリー | 言語 |
---|---|
1 | デンマーク語 オランダ語 フランス語 イタリア語 ノルウェー語 ポルトガル語 ルーマニア語 スペイン語 スウェーデン語 |
2 | ドイツ語 インドネシア語 マレー語 スワヒリ語 ハイチ語 |
3 | アルバニア語 アルメニア語 ブルガリア語 エストニア語 ギリシャ語 ヒンディー語 ハンガリー語 アイスランド語 ポーランド語 ロシア語 など他多数 |
4 | アラビア語 広東語 北京語 日本語 韓国語 |
見てのとおり、日本語はカテゴリー4に分類されています。このことから、英語を母国語としている人にとって日本語はとても難しい言語であることが分かります。言い換えてみると、私たち日本人にとっても、英語は習得するのにとても難しい言語であるということです。
かと言ってずっと嘆いているわけにはいけませんので、今からしっかり対策をとっていきましょう。
今回は英語と日本語の違いを、発音という視点から見ていきます。
英語の発音のコツは「つながる音」「消える音」「弱くなる音」「変化する音」の4つの音で口の筋トレをすること!
英語の発音のコツは「つながる音」「落ちる音」「弱くなる音」「変化する音」の4つの音を知ることです。そして声に出す練習して口を鍛えることが大切です。
私たち日本人は日本語を母国語として毎日日本語を話しています。
それはどういうことかと言うと、ずっと日本語を話していると口の開け方や舌の動きが日本語仕様になっているということです。日本語仕様になってしまっている口の筋肉を英語仕様にするには、口の筋トレをして英語を話す時に必要な口の筋肉を鍛え上げなくてはいけません。
これから紹介する「音」には全て音声を付けています。音声を何度も聞いて声に出す練習をすると、リスニング力が自然と備わってきます。なぜなら自分が言えるようになった英語はちゃんと聞き取れるようになるからです。
これから紹介する「音」をぜひ声に出して練習してください!
それでは一つずつみていきましょう。
「つながる音」

「つながる音」は前の単語が子音で終わり、次の単語が母音で始まるときに起こります。
子音で終わるというのは見た目ではなく音で判断します。例えば、likeという単語は見た目は母音で終わっていますが、発音は/láik/となり子音で終わっています。
子音で終わり母音で始まる例
like it
get out
run away
check it out
not at all
などです。これがつながると次のように発音されます。
like it(ライキッ)
get out(ゲタウ)
run away(ラナウェイ)
check it out(チェキダウ)
not at all(ナダドー)
どうでしょう?子音と母音がつながると、まるで1つの語のようになって聞こえませんか?これが「つながりの音」と呼ばれる現象です。
これは文になっても同じです。
It was a sunny afternoon in Tokyo.(東京の午後は晴れでした)
She arrived at a little house.(彼女は一軒の小さな家に着きました)
He is not kind at all.(彼は全然優しくありません)
つながる音を意識して聞いてみるとなるほどと納得できたのではないでしょうか。
聞くだけではもったいないので、自分で声に出して練習してみてください。できれば音声と同じ速さで言えるくらいまで練習してみましょう。
「消える音」

続いては「消える音」についてみていきましょう。
「消える音」は、前の単語が子音で終わり、次の単語も子音で始まるときに起こります。消えるのは最初の子音の方です。これはスピードがゆっくりな時は消えることなく発音されますが、話すスピードがある程度速くなると起きる現象です。
子音で終わり、子音で終わる例
good time
bad point
tall man
sit down
などです。これが発音されると次のように聞こえます。
good time(グッタイ)
bad point(バッポイン)
tall man(トーマン)
sit down(シッダウン)
となります。確かに最初の子音は消えていましたね。消えてしまったところにはほんの少しだけ小さな「ッ」を入れる間があったと思います。それが「消える音」を発音するコツになります。
これも同じように、文の中でも起こります。
I want to meet my grand mother.(私はおばあちゃんに会いたいです)
Michael doesn’t like to stay at home.(マイケルは家にいるのが好きではありません)
We sat down at the coffee table and started to talk.(私たちはコーヒーテーブルのところに座って喋り始めました)
どうでしたか?子音と子音が続くとき、最初の子音が聞こえていませんでしたね。
これも同じように声に出して何度も練習してみましょう。
「弱くなる音」
続いては「弱くなる音」についてです。
「弱くなる音」は、文の中で特に強調しなくてもいい語句、聞こえなくても文の意味が大体予測できるときに起こります。
その例が
- a/an/theのような冠詞や限定詞
例文:
There is a big window in the living room.(リビングには大きな窓があります)
- her/his/him/it/themなどの代名詞
例文:
I asked her about him.(私は彼のことを彼女に聞きました)
- at/to/of/inなどの前置詞
We had a lot of fun at the party at Jim’s place.(ジムの家でのパーティは楽しかったです)
- is/was/are/wereなどのbe動詞
Liz and Meg are middle school students.(リズとメグは中学生です)
- and/but/thatなどの接続詞
I don’t like spicy food, but I like curry.(私は辛い食べ物は好きではないですがカレーは好きです)
いかがでしょうか。弱く発音されていることが分かったかと思います。
ぜひ音声を参考に自分でも声に出して何度も練習してみてください。
「変化する音」

最後は「変化する音」です。「変化する音」は、前の単語がd, t, s, p, k などの子音で終わり、次の単語がyで始まるときに起こります。他の子音もありますが、とりあえずこの5つを覚えておきましょう。
did you(ディドゥ ユー → ディジュー)
not yet(ナット イェッ → ナッチェッ)
miss you(ミス ユー → ミスュー)
keep you(キープ ユー → キーピュー)
thank you(サンク ユー → サンキュー)
などです。
文の中でどう聞こえるかも確認しておきましょう。
Did you go to work today?(あなたは今日仕事に行きましたか)
I will miss you.(会えなくて寂しくなります)
This medicine will keep you awake.(この薬を飲むとずっと目が覚めているでしょう)
さらにアメリカ英語の発音の特徴として「フラッピング」というものもあります。これも「変化する音」の仲間です。「フラッピング」とは、単語の中にある t の音が「ラ行」と「ダ行」の中間の音のように聞こえることです。
例えば、
letter(レター → レラー)
water(ウォーター → ウォーラー)
little(リトル → リロー)
hospital(ホスピトー → ホスピロー)
などです。
文の中でどう聞こえるかも確認しておきましょう。
I got a letter from my cousin.(いとこから手紙をもらいました)
Could I have some water?(水をいただけませんか)
He had a little stomachache.(彼は少しお腹が痛いです)
Do you know how to get to the hospital?
いかがでしたか。tが「ラ行」と「ダ行」の中間の音に変化して聞こえたと思います。これはアメリカ英語の発音の特徴です。ちなみにイギリス英語ではちゃんと「タ行」で発音されます。
これもしつこいようですが、ぜひ何度も聞いて練習してみてください!
【英語の発音のコツを掴んでリスニング力アップ】 まとめ
今回は英語の発音のコツとして4つの「音」をみてきました。まとめると次のようになります。
- つながる音(not at all, like itなど)
- 消える音(good time, sit downなど)
- 弱くなる音(a/an/the, her/himなど)
- 変化する音(did you, littleなど)
そして、音声を聞いて何度も声に出して練習する!ということでした。
今回ご紹介した例文だけでなく、自分で見つけた英語の文を声に出して読むときは、ぜひ4つの音の変化を意識してみましょう。
英語は日本語とは身近なようで言語学的には遠い言語です。しかしだからと言って、英語の習得が不可能であるということでは決してありません。日本で生まれ育った人の中には努力をして英語を上手に話せるようになった人がたくさんいます。そういった人たちは、英語と日本語の違いを意識するのと同時に、英語の特徴を理解し、正しい勉強法で努力をした人たちです。
リスニングが苦手な人は、まずは発音の違いを理解して、正しい勉強法で、つまり声に出して何度も練習するということを繰り返しやってみてください。努力は必ず報われます!
おわり
リスニングに最適なシャドーイングのトレーニング方法を下の記事で紹介しています。どうぞご覧ください。
英語と日本語の発音が違いすぎる単語集めました。アレルギー、マーガリン、ワクチン、テーマパークなど、正しい英語の発音を身につけよう!