今回は英検凖2級の「長文の語句空所補充問題」について見ていきたいと思います。
凖2級をはじめて受験しようと思っている方の中には、このセクションは一体どうやって解けばいいのだろうと不安に思っている方もいらっしゃると思います。
この記事は、前半に凖2級の筆記試験について概要、そして後半はその語句空所補充問題を解くときの3つのポイントを押さえ、実際に出題された試験問題をみなさんと一緒に解いていく内容になっています。
目次はクリックできますので好きなところから読んでいただいても構いません。
ではみていきましょう。
クリックできる目次
英検凖2級 リーディングの中身とは?
まずは大まかに準2級の筆記試験の概要と中身を押さえておきます。
英検準2級は高校中級レベル
英検凖2級の一次試験はリーディング、ライティング、リスニングの3技能を測る試験になります。一次試験全体の試験時間は100分で、そのうちリーディングとライティングを含む筆記は75分、リスニングが25分になります。下の表で確認しておきましょう。

凖2級のレベルは高校中級程度となり、3級までの「日常生活」「海外の文化」という話題に、「教育・科学・歴史」といった学問的なテーマが追加されます。
レベル | 高校中級程度 |
話題 | 日常生活、海外の文化、教育・科学・歴史 |
英単語は大学入試に出てくるような難しいものはあまり出題されませんが、文の長さが長くなり全体のボリュームも多くなるので、ある程度の文法知識やそれなりの読解スピードが必要になってきま
す。

英文を後ろから日本語に訳していく「戻り読み」をしていると制限時間に間に合わなくなるってことニャ。
話題に関して言えば、例えば過去のリーディングの長文問題では「ペットのレンタル事業」、「空港で増えているミニ美術館」、「スポーツ選手の自信を高める新しい方法」といった内容などが出題されています。
3級までと比べて話題の範囲が広くなるので、日頃から世界の動きやトレンドなどをニュースなどで見聞きしておくと、英語でも内容が頭に入ってきやすくなるのではないでしょうか。
概要についてもっと詳しい内容が知りたい方は英検公式ウェブサイトをご覧ください。
長文問題では大問4つから12問出題される
長文問題は筆記試験の中でも最も時間を要するセクションと言ってもいいでしょう。
下表の赤枠でかこってあるところを見ると、「語句補充問題」と「内容一致選択」の2種類があり、それぞれ問題文が2つずつという構成になっています。

準2級からは読む量がグンと増えますので、十分な時間を確保することと、効率よく問題を解いていくことがポイントになります。
では次からはいよいよ実際の問題を例にして解き方を見ていきましょう。今回は長文の語句空所補充問題に絞って対策をしていきます。
英検凖2級【長文の語句空所補充】ポイント3つ
長文の語句空所補充問題には、短めの物語文(空所2つ)と長めの説明文(空所3つ)があります。ここからは各形式ごとに実際の問題を一緒に解いていきましょう。
短めの物語文(空所2つ)
まずは短めの物語を読んで空所を補充する問題です。空所は2ヶ所あります。物語と言っても、昔話やおとぎ話などではなく、誰かが何かを経験したことについて文章(パッセージ)にしたものになります。

このような物語文を読んで解くときに押さえておきたいポイントは3つです。
物語文の空所補充問題を解く時の3つのポイント
● タイトルから内容を推測する。
● 誰が何をしたのかを時系列で追っていく。
● 空所を含むの文の前後に注目し、自然につながる内容を選択肢から選ぶ。
では実際に解いていきましょう。
まずはポイント1つ目の「タイトルから内容を推測する」です。このパッセージのタイトルは一番上の「School Trip」です。これは「修学旅行」という意味ですが、この言葉から内容を推測して見ましょう。おそらく、誰かが修学旅行で経験したことについての話の内容だと推測できますね。
推測の内容がズレていても心配いりません。大切なのは、読む準備ができているかどうかです。
次に段落ごとに読んでいきますが、ここでポイント2つ目です。物語文を読むときは、「誰が何をしたのかを時系列で話を追っていく、ということです。誰が何をしたか、そして次に何をするのか、ということを常に頭の中で意識して読んでいくことは、物語文を読むときの基本になります。
ではそれらのポイントを意識して第一段落を読んでみてください。

第一段落を読むと、次のような流れになっていることがわかりました。
ケイコがオーストラリアに修学旅行に行った
↓
そこで現地の高校を訪れた
↓
ゲームなどで楽しい時を過ごし〇〇した
↓
最後に何人かとメールアドレスを交換した
その中で空所を含のは、
Keiko had a wonderful time and ( 26 ).
ケイコは楽しい時間を過ごして( 26 )しました。
という文でした。
ここでポイント3つ目です。空所補充問題と解くときは、必ず「空所を含む文の前後に注目」します。

すると、空所の前にはThey also ~ at the school.(学校で生徒たちとゲームをした)とあり、空所の後にはAt the end of the day, ~ with some of them.(何人かとメールアドレスを交換した)とあります。
空所に入る答えはこの2文を自然に繋げることができる内容です。
またこの場合、she exchanged her email address with some of them.という文の“them”は何を指しているのか、ということも大きなヒントになります。
ここで選択肢を見てみると、
- tried some new foods
- learned many English words
- made many friends
- told her parents
とあります。
前後の関係から読み取ると、❸のmade many friends(友達をたくさん作った)が最も適切な内容になりそうです。特に後半の「メールアドレスを交換した」という部分が大きなヒントになっていました。
またthemが指しているのは、❶のfoodsでも❷のEnglish wordsでも❹のher parentsでもない、❸のmany friendsであるいうことも明らかですね。
実際につなげてみましょう。
「彼らとゲームをして楽しく過ごし友達をたくさん作った。その後何人かとメールアドレスを交換した。」

自然につながったニャ!代名詞があったらそれが何を指すのか考えることが大切なんだな。
続いて第二段落を読んでいきましょう。

第二段落の内容は次のような流れでした。
オーストラリア人の友達の何人かは日本にとても興味があった
↓
Josephという男の子が来年の春、家族と日本を訪れる予定である
↓
彼は〇〇するだろうと言った
↓
ケイコは彼に会って自分の学校を案内したい
そして空所を含む文は以下の通りです。
He said he will ( 27 ).
彼は( 27 )するだろうと言った。
ここでも文の前後の内容を見てみましょう。

空所の前にはOne of her friends, ~ next spring.(Josephは来年の春に家族と日本を訪れる)、空所の後にはKeiko cannot ~ her school.(ケイコは彼にもう一度会って自分の学校を案内するのを楽しみにしている)とあります。答えはこの2文を自然に繋げる内容です。
ここで選択肢を見てみると、
- visit Keiko’s hometown
- take a bus tour
- go to some famous temples
- travel there by ship
とあります。
後半の「ケイコは彼に再会して自分の学校を案内するのを楽しみにしている」という文から、二人はケイコの学校がある地元で会うだろうということが分かります。よって選択肢の中で最も適切な内容は、❶のvisit Keiko’s hometown(ケイコの地元を訪れる)ということになります。
実際に空所に当てはめてみると、
「Josephは来年の春に家族と日本を訪れる予定です。彼はケイコの地元を訪れるだろうと言った。ケイコは彼にもう一度会って自分の学校を案内するのを楽しみにしている」
となり、自然な流れになりました。
では物語文の語句空所補充問題を解く上でのポイントをもう一度おさらいしておきましょう。
物語文の空所補充問題を解く時の3つのポイント
● タイトルから内容を推測する。
● 誰が何をしたのかを時系列で追っていく。
● 空所を含むの文の前後に注目し、自然につながる内容のものを選ぶ。

最後に文が自然につながるかどうか、実際に空所に入れてみて確認するニャ。
長めの説明文(空所3つ)
続いては長めの説明文を見ていきたいと思います。
説明文では傾向として、「最近流行っている新しいトレンド」や「新しいサービス」などについて書かれている文章である場合がほとんどです。

文字が多く読む量に圧倒されてしまいそうですが、ポイントをしっかり押さえて読んでいけば大丈夫です。
説明文を読むときのポイントは次の通りです。
説明文の空所補充問題を解く3つのポイント
● タイトルから内容を推測する。
●「新しいトレンドとは何か」「それはなぜ生まれたか」「それがもたらすメリットとは」の3つを意識する。
● 空所を含むの文の前後に注目し、自然につながる内容のものを選ぶ。
これも先ほどの短めの物語文と同じように、タイトル、そして段落ごとに読み進めていきましょう。
ポイント1つ目は「タイトルから内容を推測する」でしたね。
タイトルは「Sharing the Love of Dogs」です。これは「犬への愛情をシェア」という意味ですが一体どんなトレンドなのでしょう。
では第一段落から読んでいきます。
構成として、第一段落では「新しいトレンドとは何か」が「なぜそのトレンドが生まれたのか」とともに説明されていることが多いです。

読んでみると第一段落は次のような内容でした。
「インターネットではいろんなものを貸し借りできる。例えば道具は高価であり、ほとんどの人は〇〇しない。一回使った後はたいてい何ヶ月もキャビネットなどにしまいっぱなしになる。そういった道具などはネットを通じて借りることでお金も場所も節約できる。そして最近はペットを借りることができるウェブサイトさえある。BorrowMyDoggyというサイトではユーザーがペットのオーナーから犬を借りることができる。」
さあこれを読んで「新しいトレンドとは何か」と「生まれた理由」は読み取れましたか?
新しいトレンドとは
→ ペットのレンタル
そのトレンドが生まれた理由
→ レンタルした方が節約できるから
空欄を含む文は、
Tools such as drills can be expensive, and most people do not ( 28 ).
ドリルのような道具は高価であり、そしてほとんどの人は( 28 )しない。
です。
ではこの文の前後を見てみましょう。

空所の前にはFor example, ~ other people’s tools.(例えば道具は人から借りることができる)、空所の後にはAfter a tool is used once, ~ for months.(一旦使った後はほとんどの人が何ヶ月もガレージなどにしまったままである)とあります。
選択肢は以下の通りです。
- have enough time
- need them every day
- know how to use them
- want to break them
前後の関係からみて最も適切な内容は、❷のneed them evey day「毎日必要」ですね。
実際に空所に当てはめてみると、
「例えば道具は高価であり、ほとんどの人は毎日必要としない。一回使った後はたいてい何ヶ月もキャビネットなどにしまいっぱなしになる」
とても自然につながりました。ここでも後半の部分が大きなヒントになっていましたね。
続いて第二段落に進みましょう。
第二段落は、「その新しいトレンドがどのようなものか」という具体的な内容が書かれているはずです。

内容は以下のようになっていました。
「犬の飼い主は仕事や家族の世話で忙しいとき、BorrowMyDoggyというサイトを利用できる。飼い主は犬を〇〇する必要がある。犬を借りたい人はこのサイトでオーナーとウェブサイト上で連絡を取り、オーナーはその人に質問をすることでその人が信頼できるかどうかを判断する。オーナーがその人を気に入ればその人は犬と会って散歩をしたり遊んだりすることができる。」
新しいトレンドの具体的な内容とは、
新しいトレンドの内容
→ さまざまな事情で犬の世話ができないオーナーが、一時的に犬を借りて世話をしてくれる人をウェブ上で探すことができる
ということでした。
空所を含む文は、
They need ( 29 ) their dogs.
彼らは自分の犬に( 29 )が必要がある。
ですね。
ではその前後の内容を見てみましょう。

空所の前の文はDog owners ~ in their family.「犬の飼い主は仕事や家族の世話で忙しい時にBorrowMyDoggyを利用するだろう」、そして空所の後の文はPeople who ~ dog owners.「犬を借りたい人は犬の飼い主と連絡を取るためウェブサイトを利用する」です。
選択肢を見てみると、
- more space to keep
- kind people to care for
- to give special food to
- to learn more about
とあります。
まず空所を含む文の“They”は誰を指しているのかを明らかにします。代名詞は直前の名詞を言い換えている場合がほとんどです。ここでは直前の文の複数形の名詞である“Dog owners”ですね。では彼らは何を必要としているのでしょう?
前後の文である「飼い主はBorrowMyDoggyを利用するだろう」と「借りたい人は連絡をとるためにウェブサイトを利用する」の二つの文を自然につなげることができるのは、❷のkind people to care for(犬の世話をしてくれる優しい人たち)が最も適切な語句と言えそうです。
実際に空所に入れてみると、
「犬の飼い主は仕事や家族の世話で忙しい時にBorrowMyDoggyを利用するだろう。彼らは自分の犬の世話をしてくれる優しい人たちが必要だ。犬を借りたい人は犬の飼い主と連絡を取るためにそのウェブサイトを利用する」
となり、自然な流れになりました。

なるほどニャ。次はいよいよ最後の段落!
最後の段落は「そのトレンドがもたらすメリット」が書かれていることが多いです。

第三段落は次のような内容でした。
「多くの愛犬家はペットとして犬を飼うことができない。時間やお金がなかったり、家が狭すぎたり、家族に犬嫌いがいるのかもしれない。BorrowMyDoggyは〇〇だ。彼らは自分のお気に入りの動物と時間を過ごすことができる。さらに犬と遊ぶことでストレスを軽減し、健康的で幸せになることができる。」
さあ、どんなメリットがありましたか?
トレンドがもたらすメリット
→ 犬を飼いたいけれど飼えない人は、BorrowMyDoggyで借りた犬と時間を過ごし一緒に遊ぶことで健康的に過ごすことができる
空所を含む文は、
BorrowMyDoggy is ( 30 ).
BorrowMyDoggyは( 30 )だ。
です。
ではその前後の内容に目を向けてみましょう。

空所の前の文はMaybe someone in their family does not like dogs.(おそらく家族の誰かに犬嫌いがいる)、空所の後の文はThey get a chance ~ their favorite animals.(彼らは自分の好きな動物と時間を過ごすことができる)です。
後半の文には代名詞“They”や“them”を含んでいます。それらが何を指しているのかも考えてみましょう。
では選択肢を見てみます。
- opening new websites
- working with animal doctors
- also good for the dogs
- perfect for such people
代名詞Theyやthemは段落の最初の主語である“Many dog lovers”、つまり「犬を飼いたくても飼えない愛犬家」を指していることが推測できます。よって答えは、❹のperfect for such people(そのような人たちにとってパーフェクト)です。
実際に空所に入れてみましょう。
「おそらく(愛犬家の中には)家族の中に犬嫌いがいるのかもしれない。BorrowMyDoggyはそんな人たちにとってパーフェクトである。彼らは自分の好きな動物と一緒に時間を過ごすことができる」
ちゃんと自然な流れになりました。
最後に説明文を読むときのコツをもう一度確認しておきましょう。
説明文の空所補充問題を解くポイント
● タイトルから内容を推測する。
●「新しいトレンドとは何か」「それはなぜ生まれたか」「それがもたらすメリットとは」の3つを意識する。
● 空所を含むの文の前後に注目し、自然につながる内容のものを選ぶ。
英検凖2級 語句空所補充問題 あとがき
いかがでしたか?今回は凖2級の語句空所補充問題を物語文と説明文に分けてみてきました。
長文はなんとなく読んでいくのではなく、必ず何を読み取る必要があるのかを意識しながら読むことが大切です。今回紹介した3つのポイントをしっかりと押さえておくと、頭の中で整理しながら読むことができ、正しい答えを素早く見つけることができます。これから問題集を解いたりするときは、今回の紹介したやり方をぜひ実践してみてください。
また日頃からアンテナを張りめぐらせ、世界で今何が流行っているのかや、どんな新しいサービスがあるかなどを情報収集しておけば、「あ!これ知ってる」といった内容が試験で出題されることがあるかもしれません。そうなれば内容もスーッと頭に入っていくことでしょう。
おすすめの本!
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「長文の語句空所補充問題」は凖2級から新しく加わる問題形式のことニャ。