【冠詞】a, an, theのキホンを解説!練習問題あり

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今回のテーマは「冠詞」(articles)です。英語の冠詞には、a, an, theの3つがあります。これらは、名詞の前につき、その名詞の特定性(特定するかしないか)を表す役割があります。冠詞を正しく使うことができないと、コミュニケーションで予期せぬ誤解を招くことさえあるのです。

ここで2つの例文を見てください。どちらも「窓を開けてくれませんか?」という意味ですが、それぞれの「窓」の意味が異なります。一体どういうことでしょうか?

  1. Will you open a window?
  2. Will you open the window?

簡単に説明すると、

①は、他にもいくつかある「窓」のうち、「どれか一つの窓」を指しています。

それに対して②は、大体いつも開ける窓が決まっているとか、その部屋には窓が一つしかない時です。

ちなみに日本語には冠詞にあたるものがありません。おそらく、英語を書いたり読んだりするときについ冠詞を忘れてしまうのはこのためかもしれません。

英語では冠詞はとても大切な品詞です。知れば知るほど奥が深くなるそんな冠詞を、今回はぜひ一緒に見ていきましょう。


aとan

aとanの意味

冠詞のaとanは、いくつかあるのうちの「一つの・一人の」という意味で、それに続く名詞が数えられる名詞で、かつ単数のときに必要になる冠詞です。

I have a cat.
私は猫を1匹飼っています。

A man is sleeping on the bench.
とある男性がベンチで寝ています。

猫や男性はこの世の中にたくさんいます。そのうちの1匹、または一人という意味でaが使われています。


もし二つ以上(複数)ある場合は、aやanはつけずにその名詞を複数形にします。

I have two cats.
私に猫を2匹飼っています。

There are many factories in this area.
この地域にはたくさんの工場がある。


数えられる名詞が単数のときには必ずaやanをつけ、複数のときはaやanはつけずにその名詞を複数形にする


aとanの使い分け

aとanはそれに続く名詞によって使い分ける必要があります。通常はaを使えばOKですが、それ以外の時にはanを使います。それ以外とは、その直後にくる単語が母音(a,e,i,o,uなど)で始まる時です。

子音で始まる時は a
I have a banana.
Mr. Jones bought a car.

母音で始まるときは an
I have an apple.
There was an earthquake yesterday.

英語の母音は数が多い!

日本語の母音はあ・い・う・え・おの5つしかありません。

一方英語ははるかに数が多いです。さまざまな分類の仕方があるのでこれが正解!とは言えませんが、おおざっぱに見積もっても15個ぐらいあります。

例えば日本語の「あ」に近い音一つとっても、

  1. 口を大きく開け喉の奥から「あ」と言うときの[ɑ]
  2. 「え」と「あ」の間の音の[æ]
  3. ちょっとだらしなく「あ」と言った時の[ə]
  4. 何かを思い出したときに「あ」と言う時の[ʌ]


というように複数の異なる「あ」が存在するのです。もちろんネイティブは全て使い分けています。


aかanのどちらを使うかで注意すべき点がいくつかあります。

まず次のような場合です。

I have an hour.
私は1時間あります。

まずこの文ですが、hourはhで始まっているのにどうしてanになっているのか?と思った方はいませんか?

これは発音記号を見ればわかります。発音記号は辞書でその単語を調べると、意味と一緒に必ず記されているので、興味のある方は調べて見てください。

そうすると、hourの発音は[áuər]で、[a]という母音で始まっていることがわかります。だからanなのです。


次のようなケースもあります。

It’s a unique color.
それはユニークな色です。

この場合、uniqueはuで始まっているのにどうしてaなのか?と思うかもしれません。これも発音記号を調べてみます。そうすると、uniqueの発音は[juːníːk]で、[j]という子音で始まっていることがわかります。

これら2つの例からもわかるように、aかanかを決めるのは、スペルではなく「音」なのです。


もうひとつ例を見ておきましょう。

I have an old guitar.
私は古いギターを一本持っています。

guitarの発音は[gitɑ́r]です。[g]という子音で始まっているのにどうしてanなの?となるしれません。しかしその直後にあるoldの発音は[óuld]で、[o]という母音から始まっています。

つまり、aかanかはその直後に続く音が影響するということです。

anがついた時の発音

speak

さて、せっかくなので発音も完璧にしておきましょう。

anは[n]という子音で終わっています。子音で終わり、次の単語が母音で始まるときは音をつなげて発音します。

例えば、an ideaは「アン アイディア」とは発音せずに、「アイディア」のように日本語の行に変化させて発音します。

an ideaをanideaというように一つの単語のようにくっつけて発音することがポイントです。


では次の語を発音してみましょう。

  • an apple → アナッポー
  • an hour → アンワー
  • an orange → アノウレンジ
  • an envelope → アンヴェロウプ
  • an earthquake → アナースクエイク
  • an umbrella → アンブレラ
  • an old house → アノウルド ハウス
  • an expensive car → アクスペンシヴ カー


英語らしくなめらかに言えるように何度も練習してみて下さい。

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theとは?

次はtheについてみていきましょう。

theのキホン

冠詞のtheは「定冠詞」とも呼ばれ、続く名詞が単数形・複数形に関係なく使うことができます。

theをつける時というのは、

  1. 世界に一つだけのもの
  2. 前に一度話題に上がっていたもの
  3. 話者同士でどれを指しているのか分かっているもの


など限定的なもの特定的なもの指すときです。

例えば、

The sun sets early these days.
このところ日が沈むのが早いです。

という文ですが、常識的に「太陽」は私たちが住む太陽系に一つしかありません。そういった世界に一つだけのものにはtheを付けます。


Kate gave me an apple yesterday, and the apple was very sweet.
ケイトは昨日私にリンゴをくれました。そのリンゴはとても甘かったです。

という文は、最初のan appleはいくつかある中の一つのリンゴなのでan appleであるのに対し、次に出てくるthe appleは「ケイトにもらったリンゴ」とすでに話題に上がっていたリンゴを指しているのでthe appleとなります。


Would you pass me the salt?
塩を取ってくれませんか。

この場合のthe saltは、食卓で使う塩はみんながどれを指しているのかわかっているためですね。

theの発音

ここで発音についても確認しておきたいと思います。

theの次の単語が母音で始まるときは、theは「ザ」ではなく、「ジ」や「ディ」のように発音します。thの発音は私たち日本人にとっては少し難しい発音になりますが、舌先を少し前歯でこすって引っ込めるようにするとうまく発音できます。

これも発音練習をしてみましょう。

  • the apple → アッポー
  • the airplane →  エアプレイン
  • the idea →  アイディア
  • the elephant →  エレファント
  • the orange →  オレンジ
  • the umbrella →  アンブレラ
  • the interesting story →  インタレスティング ストウリー
  • the old book →  オウルド ブック


theの有無がすでに決まっているもの

理由なくtheを付けるか付けないかが決まっている名詞もあります。下に例をあげておきます。

theを付けるものtheを付けないもの
砂漠、海、川、山脈、半島

We sailed across the Pacific Ocean.
私たちは太平洋を船で横断した。

The Alps are in the center of Europe.
アルプス山脈はヨーロパの中央にある。
交通手段

I went there by bus.
私はそこへはバスで行った。
ホテル、美術館

They stayed at the Hilton Hotel.
彼らはヒルトンホテルに泊まりました。
湖、山

He climbed Mt. Fuji last summer.
彼は去年の夏に富士山に登った。

Lake Biwa is the biggest lake in Japan.
琵琶湖は日本で一番大きな湖です。
方角

We’re driving to the east.
私たちは東に向かって運転している。
駅、空港

Transfer at Tokyo Station, please.
東京駅で乗り換えてください。
時間帯

I walk the dog in the morning.
私は午前中に犬の散歩に行く。
公園、橋

Central Park is in New York.
セントラルパークはニューヨークにある。
国名(united, republic, 国名が複数形のとき)

These bananas are from the Philippines.
これらのバナナはフィリピン産です。

London is the capital of the United Kingdom.
ロンドンは英国の首都です。
惑星

Jupiter is the biggest planet in the solar system.
木星は太陽系で最も大きな惑星です。

補足:
the earth「地球」は定冠詞のtheがつくが、
最近はEarthという固有名詞にして無冠詞で使うことが多い。


go to school? それとも go to the school?

ing

「学校に行く」と言いたいときは、go to school なのか、go to the schoolなのかどちらでしょう?

答えは、「通学する」という意味ならgo to school、ただ単にその建物に行く目的ならばgo to the schoolになります。

go to school
通学する

go to the school
その学校(の建物)に行く

このようにtheの有無で意味が変わってしまうものは他にもあります。

go to church「礼拝に行く」
go to the church「教会の建物に行く」

go to bed「寝る」
go to the bed「ベッドに行く」

go to prison「(囚人として)刑務所に入る」
go to the prison「刑務所の建物に行く」


theは限定的なものを指すときに使われることから、行くのはその建物までという考え方です。

逆にtheを使わないときは、そこへ行くことだけに限定せず、その先の目的にまで意味が広がっている、と考えると分かりやすいですね。

冠詞の位置

冠詞を置く位置も押さえておきましょう。

冠詞は名詞の前に置きます。これが基本です。

冠詞+名詞
a car
the chair
an egg

名詞の前に形容詞や副詞がある場合はその前に冠詞を置きます。

冠詞+(副詞)+形容詞+名詞

a big car
the old chair
a very tall man

ただし、次のような場合には形容詞の後に冠詞を置きます。

such a(an) 〜「そのような〜」
I never tell such a lie
私はそのような嘘は絶対に言わない。

all the 〜「その全部の〜」
I have already spent all the money.
私はもうそのお金を全部使ってしまった。

half a(an) 〜「半分の〜」
It takes half an hour.
それは30分かかります。

both the 〜「その両方の〜」
Both the sisters are married.
その姉妹二人とも結婚しています。

double the 〜「倍の〜」
I paid double the price.
私はその倍の値段を払った。

冠詞クイズ!

be going to or will

これまでの内容を踏まえた練習問題です。次の文のカッコにa, an, theのいずれかを入れましょう。入れる必要のない場合は×を入れましょう。


I read ( ) book yesterday, and ( ) story was very interesting.

a, the

「一冊の本」はa bookです。storyは「その本の物語」という限定的なものを指します。



It took me ( ) year to save one million yen.

a

yearの発音は[jíər]で、子音で始まっています。



Will you answer ( ) phone?

the

鳴っている電話がどれを指しているのか話者同士でわかっているのでtheをつけます。



( ) Kyoto Station is always crowded with many tourists.

×

駅名は無冠詞になります。



The man *robbed a bank and went to ( ) jail for 5 years. *rob=強盗する

×

「服役する」という意味では無冠詞になります。



We stayed in New York for only half ( ) day.

a

「半日」は「一日の半分」なのでhalf a dayにします。



( ) Mars is far away from ( ) earth.

×, the

Marsは惑星なので無冠詞。earthはEarthであれば無冠詞だが、この場合小文字から始まっているのでtheが必要。



( ) Netherlands is such a beautiful country.

The

「オランダ」はNetherlandsのように複数形の国名です。複数形の国名にはtheが付きます。ただし動詞は単数扱いになることに注意しましょう。


最後に

さあ、今回は冠詞についてみてきましたがいかがでしたか?

大まかに内容をまとめると、次のようになります。

  • 冠詞にはa, an, theがある。
  • aとanは「いくつかある中の一つ」という意味。
  • anになるのは直後の語が母音で始まる時。
  • theは限定的なものを指す時に使う。
  • 常にtheをつけて使う名前がある。


冠詞はあまり目立たない品詞なので、抜け落ちたり適当に使ってしまったりしてしまいますが、ネイティブにとってみたら、ちょっとした冠詞の間違いでもやっぱり「なんか違う」と感じてしまいます。

知れば知るほど面白い冠詞の世界。少しずつでもいいので正しい使い方を覚えていきましょう。

こんな本もあります!


anotherやother、the otherやothersの違いについてはこちらです↓

the other

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こんにちは!英会話スクールの主任講師として約10年ほど英会話を教えてきました。英会話スクール講師のほかTOEICセミナー講師、通信教育の添削指導者、英語翻訳などを経て、現在は大阪で主婦をしています。TOEIC910点取得。得意分野は英文法、発音、英検・TOEIC、アメリカンカルチャーなど。中学英語の見直しを基本に、みなさんに役に立つ記事を発信しています!